とある元SEの思考を探る

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ラストアイドル第2期を終えて

3月31日の放送でラストアイドルの第2期が終わった。

最終的に表題曲を取ったのは、シュークリームロケッツ
ラストアイドル第2期は5人のプロデューサーが5組のユニットをプロデュースし、毎週2組のユニットがパフォーマンスを行い、1人の審査員が勝敗を決めると言う形式であった。

個人戦ではなく、ユニット対決という点が1期と異なる点であった。

最近休日もなかなか時間が取れないが、タイムシフトでも必ずみるようにしている番組がいくつかあり、ラストアイドルはそのうちの一つであった。第2期をすべて見てきて感じたことは、秋元康の絶対的なプロデュース力に他ならなかった。

実は私がシュークリームロケッツの「君のAchoo!」を最初に聞いたとき、楽曲単体としてはすんなりと受け入れられるものではなかった。

冒頭の歌詞は低音で入り、サビの前にはくしゃみをし、後半にはハンカチを取り出してカメラに向かってふきふきする。

奇をてらっている感。あるいは、秋元康の挑戦と言ってもいいのかもしれない。

受け入れることができなかったのである。

しかし、この曲が秀逸だったのは、1回聞いて気に入ってもらって終わりということではなく、およそ三ヶ月間に渡って戦っていくための楽曲であるという点である。

1月28日の放送では、シュークリームロケッツLove Cocchiに破れる。前述のように曲の難しい入りや、前代未聞の曲中のくしゃみなど、メンバーはこの曲に対してどう向き合っていけばいいのか、その答えが出ていないままでのパフォーマンスであるように感じた。
一方つんくプロデュースのLove Cocchiは、青春シンフォニーで挑む。まさにつんくワールド前回のパフォーマンス。1回のパフォーマンスで聴衆を虜にする楽曲であった。シンセサイザーの明るいイントロから、高音での歌い出し。「努力全部私になる」という歌詞もわかりやすい。後半の一人一人が右手を振り上げて、1人ずつ自分をアピールする場もあり、メンバーの良さを存分にアピールするパフォーマンスであった。
最終的にLove Cocchiは決勝トーナメントにも駒を進めることになるが、納得の結果であろう。

話を「君のAchoo!」に戻す。
前述のように「君のAchoo!」の良さは、1回ではわかりにくい。むしろ、三ヶ月を通してシュークリムロケッツの取り組みの様子も加味した上で良さがわかるような構成だったと言える。

各放送のパフォーマンスの前には、前回のパフォーマンスから各ユニットがどう取り組んだかが紹介される。
曲冒頭の低音の難しさにフォーカスを当てた回があった。ここでは曲としての難易度の高さをアピールした。
くしゃみの仕方に注目した回もあった。くしゃみという前代未聞のパフォーマンス。何を参考にしたらいいかわからない中メンバーがもがく姿を見せ、見ている人に感情移入させた。

また、他のユニットに比べ、細部にこだわっているというのをまざまざと感じた。

例えば、パフォーマンスの冒頭は、メンバー3人のスカートがくっついた状態からスタートする。軽めのマジックテープになっているのかどうかわからないが、くっついた状態から、回転してくっついていたのが取れる。こうしたメンバー同士の連携は、見る人の心を揺さぶる。同様のパフォーマンスが曲の途中でも見せる。3人が腕を絡ませて歌っている箇所があるのだ。確実に歌いにくい体制だと思うのだが、そうしたある意味での歪は秋元康が視聴者、特に男性の気持ちがわかっているということだと思う。これが2月18日の審査員の判定が男女で別れた大きな要因の一つだったと思う。

そして、もう一点気になるのが、Someday Somewhereのプロデューサーの指原莉乃のこだわりと言っていた「さしこ丈」である。スカートの長さを34cmに統一したというさしこ丈であるが、もっとこだわっていると感じたのがシュークリムロケッツだったと思う。シュークリームロケッツのスカートは一見長いが、これは二段構えになっており、衣装の後部は長い丈、前部は短い丈となっている。
長い丈にしている理由は長いほど遠心力を利用できるからであると思う。遠心力はmrω2で表せれるので、同じ角速度であれば、半径が大きい方が大きな力となるのである。
シュークリムロケッツのパフォーマンスの中には随所で回転する箇所がある。この時に、長い丈の方が美しく見えるのである。いやらしさもない。そして、回転のタイミングではカメラは必ずと言っていいほど引きで撮る。この理由は、実際に映像を見てもらった方がわかるであろう。回転のパフォーマンスは全体を映すのが一番映えるのである。

正直、1回見ただけではここまで気付くことはないだろうし、まだ他にも私が気づいていないこだわりもあるのだと思う。こうした1回だけで消費される楽曲ではなく、長く話題を提供する楽曲という点で「君のAchoo!」は優れているのである。

これは、プロデュース力と言う以外になんと言えばいいのだろう。

終わってみれば秋元康の独壇場だったと言えるのではないだろうか。


しかし、総じてみれば、どのユニットにとっても、幸せな終わり方だったのではないだろうか。
総当たり戦で全敗したSomeday Somewhereは視聴者投票で1位を獲得。総当たり戦でもトータルの審査員票が9とLove Cocchiに次ぐ数であり、自信になる。
Goot Tearsは、1位突破ながらも、トータルの審査員投票数では最下位。視聴者投票でも3位であり、1位突破は自信になるものの課題を残す結果となった。
Love Cocchiは、つんくのプロデュースがとてもよかった。路上で歌わせて度胸をつかせるなど各メンバーに課題を課すというのはなかなかできることではない。2位という結果も順当であろう。
ラストアイドルは、最初の2回は2勝したものの後半2敗することになってしまった。2勝したタイミングでの視聴者投票ということもあってか、視聴者投票でも最下位であった。とはいえ第1期で表題曲を取った経験もあるので、今回の経験を生かしてさらなる飛躍が期待できる。

どこまでがシナリオに沿った展開なのか分からないが、エンターテインメントとしては秀逸であったと思う。負けて表題曲は歌えないにしても結局はCDとして発売されるんでしょという前提もあるものの、負けた後に涙を流している姿を見ると本気で取りに行っているのが感じられる。もしそれもシナリオ通りというのであれば、賞賛に値する。

秋元康の手法の一つとしてアイドルの成長を見せる+競わせるということが挙げられると思うが、それが前面に出た番組展開であった。そして、どのグループにせよ、プロデューサーにせよ、秋元康の手のひらで転がされている感が半端ない上、それをわかった上でも視聴者を惹きつけてしまうのは、脱帽するしかない。