とある元SEの思考を探る

ひょんなことからとあるICT企業ではたらくことになったなんちゃって元SEがしたためるブログ。主に、政治・経済・社会問題・日常の出来事について発信していきます。お読みいただけたら、感動にむせび泣くほど嬉しいです。よろしくお願いします。


エンジニアの給与に関して思っていること

またこんな月に一度も更新がないブログにコメントをいただきました。
ありがとうございます。

smartenergy.hateblo.jp

返信したいなと思いつつ、番組の終わるタイミングだったので、アイドル論を語る記事を先に公開してしまいました。鉄は熱いうちに打てと言われるので、自分の中で盛り上がっているときに書かせていただきました。

 

さて、本題に入ります。

 

SIerからWeb系をみると、裁量労働制も含め、自由な働き方やおしゃれなオフィス、最新の技術を扱っているという輝かしい面を強く感じるかと思います。

その反面、闇というのもあり、その一つが給料、もっと広く言うとキャリアパスというところだと思います。


Web系をはじめ、できて数年の会社はみなし労働制をとっているところが多いでしょう。2社目も3社目もつき45時間のみなし残業時間がついて固定給でした。これに関しては、私はどうしても仕方がないと思っています。
私は新卒で入社した会社の頃から残業代に対しては疑問に思っていました。なぜなら、ゆっくり仕事して残業をして、残業代を稼ぐ社員が多くいたからです。生活残業とも言われていました。

また、配属される部署によって忙しさは異なり、忙しさによって給与が変わるというのも不思議でした。私が配属されて半年ぐらいはそれほど忙しくなく、定時に帰っていましたから、同期で遅くまで働いて残業代で自分より稼ぎがいい人の話を聞くと、本当に忙しいのか、それとも仕事が遅いだけなのか疑問に思っていましたし、本当に仕事量が多いのであれば、当時の私のように余裕のある部署はありますから、緊急的にも配置換えをするなどという対応をすればいいと考えていました。
もちろん大企業で部署の異動ですら容易なものではないこともわかっています。しかし、今の変化の早い時代、それでは追いついていけないのでないか、という思いも同時にありました。
炎上している案件に要員を追加しても教育コスト等で逆に遅くなるということもあるので一概には言えませんが、システム屋なのだから、会社全体の発注状況、アサインされているメンバー、進捗度合い等から、事前に人員が不足しないかをある程度予測できるのではないか、と考えたりもしていました。

なので、裁量労働制で残業代がつかないということに不満があるのではなく、その人の能力に対して賃金が支払われていないということに不満があるのだと思います。

賃金の算定根拠となる指標はいくつかあります。職能給(能力に対する給与)、職務給(仕事の内容に対する給与)、役割等級(役職や職務に求められる役割に対する給与)などです。

職能給といえば、従来の日本企業では、年功序列賃金として考えられていました。長く働いているほど職務を遂行する能力が高いだろうということです。しかし私は、年功序列だけが職能給であるとは思いません。むしろ、在籍年数などは考慮せず、個々人の能力だけを見て定めるべきなのが職能給だと思います。これはエンジニアの世界だと割と明確で、例えば、Railsができる、React.jsができる、などがそれに当たります。もちろん、Railsができるといっても、どこまでできるのかというのがあるので、単純ではないのですが、会社としてそこをきちんと評価できているかというのが大きなポイントになってくると思います。

私の2社目のとき、その会社は東洋経済でも賃金が低い会社としてランクインされる会社で働いていました。みなし労働時間いっぱいまで働いていた時期があり、それでも年収が300万円台前半で、とてもストレスを感じていました。

その人の能力というのはしばらく働いてみないとわからない部分があるので、最初は安いのは仕方がありません。会社としても本当にきちんと働いてくれるかわからない人に最初から高い給与を支払うことはできませんし、雇われる側としてもいきなり高い給与を提示されたらプレッシャーに感じるでしょう。

こうした事情を鑑み、私がここで会社に対して提案したいのは、入社後3ヶ月〜半年程度で通常の給与改定とは異なるタイミングで新入社員の給与を見直すことです。想定より働いてくれるのであれば給与を上げたり、過去に払った賃金が少ないなと思えば、賞与という形で支払うというのが良いと思います。

ところが、多くの会社は最初入社したタイミングで賃金が安ければそんなにドラスティックに昇級しないことがほとんどだと思います。2社目でも3000円しか上がらなくて退職を決意したという話をつい最近も聞きました。

残業代というのは言ってみれば職務給に当たると思います。残業して仕事量を増やすわけですから、能力とは別な軸なわけです。仕事量ではなくて、能力も十分に加味して給与を支払ってもらえる、そんな会社に勤めることが大事なのだと思います。

そういう会社を探すのは大変ですし、自分から会社に対して発信するのも多大なエネルギーが必要です。労働組合があればそこに相談すればいいかもしれませんが、労働組合は一律賃上げなどは頑張るものの、個別の事象に対してどのくらいまで対応してくれるかはわかりません。やはり自分で頑張るしかないということだと思います。

その方法の一つがやはり転職だと思います。昨今、アベノミクスで求人は大幅に改善されてきています。私がかねてから主張してきたリフレ政策が効いてきている結果だと思います。(まだまだ不十分ですが)

私が最初に転職した時とは大幅に状況が変わり、エンジニアはどこも引く手数多です。年収500万以上の給与水準の求人はたくさんあります。私の2社目でも最近大量に人が辞めていっていますが、昨今の状況を考えると当然と言えるでしょう。

会社を見るときに、経営者が従業員の給与に対してどういうスタンスでいるのかというのは大事なポイントになってきますが、経営者がどういう経歴なのかというのは大事な要素です。

例えば、経営者が外資系出身であれば、会社員時代の給与が高いので社員の給与も全体的に高くなる傾向がある気がします。あるいは、昔から能力に対してお金を支払われるべきだという意見の人であれば、能力に見合った給与を提示してくれるでしょう。傾向として高学歴な経営者に多い気がします。なぜなら、そういう人たちは昔から、自分は他の人よりもできるのになぜ報酬の差が少ないんだと思う機会が多いからです。

もちろんむやみやたらに高給を提示してくるのは危ないので、もし自分が想定しているよりも高い給与を提示されたら、下げてもらうよう断る勇気も必要です。あるいは働いてから査定してほしいという交渉をしても良いでしょう。

転職で多くの会社を見るのは大変かもしれませんが、昨今の状況を見るとちゃんとしたエンジニアであれば大抵は入社できるものと思って活動すれば良いかと思います。

私が就職活動をしていたときは、不景気だったので、どうせ採用してくれないんでしょと思ってなかなか企業研究に力が入らなかったのですが、今はエンジニアが会社を選ぶ時代ですので、「求人を出している=人手不足=自己研鑽をしっかりしていれば入社できる」という図式が当てはまることが多いかと思います。

 

次に、Web系の買い叩き問題ですが、コメントくれた方がどういった業態なのかわからず、私が自社サービスおよびOEM提供(受託に近い)の経験しかないので、的外れになってしまうかもしれませんが、自社サービスに関しては、基本儲かっていないケースが多いです。あるいは、まだまだ投資の段階で黒字化できていないケース。よっぽどビジネスモデルが秀逸でないかぎり、自社サービスですぐに黒字化するのは難しいことが多いように、周りをみていて感じます。

もし仮に儲かっていたとしても、ストック型のサービスの場合は、サービスを運営していれば自動的に収益がついてくる構成となっているので、最低限運用してくれるエンジニアがいればよく、そうしたコアメンバーにはそれなりの報酬を払うものの、細かな改善施策などをするエンジニアには給与を高くしないという会社はあると思います。まさしく2社目がそうでした。現に最近退職するメンバーのほとんどは平社員でした。
ですので、自社サービス系は給与が頭打ちになりやすい気がします。

そして、自社サービスにいて割と問題になるのはエンジニアのスキルの問題です。ずっと同じ会社にいると見慣れたコードしか見ないですし、見慣れた技術しか使わなくなってしまいます。私はRailsはじめて4ヶ月目で副業をして他のプロダクションのコードも見たのですが、当時自社サービスで使っていなかったテンプレートエンジンであるslimを知ることができましたし、wordpressとの連携なども学びました。違う環境に行くと違う技術や設計と触れ合うことができるので知見が増えます。

ずっと同じ組織にいるとそれができにくくなるのが難点であると思います。

もう一つは、クライアント対応です。自社サービスでクライアント対応が少ないサービスであれば、必然とこもって内輪で作業することが多くなってしまいます。しかし、今後のキャリアを考えたときにクライアント対応ができないエンジニアというのは、市場価値が下がってしまいます。自社サービス系の給与が頭打ちになるというのもここが一つ大きな要素ではないかと思います。ただ自分で開発しているだけではスケールしないのです。

 

別の観点で、受託型だとやはり労働集約的になってしまう点が問題です。コメントをくれた方が、「何千万かけて開発して保守費15万/月」というところからそんな感じがしています。ここも会社を選ぶときに、どこがその会社の強みかを見極める必要があると思います。

たとえば単純なWeb制作会社だとなかなか他社のWeb制作会社との差をつけにくいです。ところが、もう少し業務の一部まで効率化できるようなサービスで、SIerなどが競合になる分野であれば、SIerの価格に比べて優位に立てます。普段SIerとつきあっている人たちから見れば安く感じるわけです。それでいて開発側からして見れば、それなりに利益が出せる価格。SIerは従来型の開発をしていますから、結構ムダが多い。要件定義をする人と開発者が別になっていて、業務要件を知らない人が開発したりするわけです。昨今のクラウドサービス(AWSなど)やRailsなどの開発効率性の高いフレームワークを用いれば、そこをワントップでできる。現に私もクライアントと仕様を調整しつつ、自分でコードも書いています。

そういった他社と比べた強みがある会社というのが生き残って行く、すなわち収益性の高いビジネスをしている会社と言えるのだと思います。

 

ちょっと長くなってしまったので、明日続きを書きたいと思います。