とある元SEの思考を探る

ひょんなことからとあるICT企業ではたらくことになったなんちゃって元SEがしたためるブログ。主に、政治・経済・社会問題・日常の出来事について発信していきます。お読みいただけたら、感動にむせび泣くほど嬉しいです。よろしくお願いします。


4年ぶりの大雪の中の東京の鉄道

2018年1月22日の日中から23日の未明にかけて東京では4年ぶりと呼ばれる大雪が降った。積雪は都心でも20 cmを超えた。

そして、容易に想像できるように交通機関は麻痺し、入場規制がかかる駅が続出。バスに乗ろうとするも長蛇の列で乗ることができない。そんな光景が22日の夕方に見られた。

私の会社でも22日は早く帰宅して良いということになった。15時を過ぎると帰宅の途につく人もいた。
外はこんこんとふる大雪で、私の勤務先のビルの隣は、ちょうど昨年末にビルが取り壊されて更地となっていたので、土や重機の上に雪が降り積もっていた。歩道もみるみるうちに白くなっていった。

勤務先の大手町の話である。比較的東に位置する大手町であるから、西の方はもっと大雪であったことは想像に難くない。

早く帰宅する人が多い中、私は普段通り20時ごろまで仕事をし、駅に向かった。

いや、普段通りといったが少し間違いだ。普段は21時過ぎまでいることが多いので普段より1時間ほど早い退勤である。といっても弊社はブラックというわけではなく、10時出勤であるから、8時間プラス1時間休憩と考えると19時が想定される退勤時刻である。なので21時というのは2時間の残業である。フレックス制が敷かれていて1日あたり8時間以上勤務していれば、19時よりも前に退勤してもいいので、取り立てて遅いわけではないことを会社の名誉のために付け加えておく。

以前の職場では社獣と呼ばれ、24時間チャットに張り付くと言われた私も、文化的な生活を送っているのである。

さて、話を大雪に戻そう。18時ごろ、まだ何人かは会社に残っている頃、「⚪︎△線が止まってるらしいよ」という会話がちらほらと聞こえ、早めに退社した先輩からも、半蔵門線田園都市線が遅すぎて二駅に30分ぐらいかかってるという報告ももらった。

ちなみに私は田園都市線沿いの世田谷の安アパートに住んでいる。世田谷は高級住宅街のイメージが多いが、クオリティを問わなければ安いアパートも多い。古くからの街もあるからだ。

ニュースでも、ツイッターでも様々な駅の入場規制の情報が入ってくる。それをチャットに貼り付けてくる人がいるのだから、否が応でも知ることになる。

私は案の定と思った。多くの会社はブラックと言われないがために、社員に早めの帰宅を促す。会社によっては強制的に帰宅させるところもあったという。
多くの人がこのような思想のもと普段よりも早く帰るとなると駅が混雑するのは容易に想像がつく。

私は今は退社する時期じゃないと強く思った。

そもそも、4年ぶりの大雪といえど、日中に降り積もる雪で電車がストップすることは考えにくい。本数は減るかもしれないが、それでも運行すると考えられるのが普通だ。
なぜなら、東京に降るレベルの雪であれば、列車が運行していれば架線にも軌道にも雪は積もりにくい。雪というものは圧力がかかればとけるし、摩擦熱もあるから、列車が通れば雪は積もらないのである。日中は都心部なら5分に1本程度の電車が走っている。これだけの本数があれば完全に電車が運行できなくなるということは容易に想像できないのである。

私は鉄道会社で5年間バイトしていた経験もあり、確信をもってそう思っていた。だからみんなが足早に家路につくときも、黙って仕事に勤しんだのである。翌日大きなリリースを控えていることもあったかもしれない。そのリリースは、北海道のクライアントである。間違っても積雪20cm程度で出社できないのでリリースが間に合いませんとは言えない。

かくして私は普段通り20時まで仕事をしたのである。普段よりもその時間まで働いている人が少なかったが故に捗ったのは言うまでもない。

そしてそろそろ疲れたから帰ろうかなと思ったころ、私は会社の最寄り駅まで歩いていった。いつも使ってる半蔵門線の駅である。20時ごろでもまだ半蔵門線はのろのろ運転だった。会社の最寄駅でも発車したばかりと思われる電車がホームを出たところで止まっていた。おそらく、渋谷から先の田園都市線の流れが悪いのであろう。

私は田園都市線に乗ることを諦め、近くの銀座線の駅に歩いていった。銀座線は乗り入れがなく、ツイッターでも銀座線は空いているという情報があったので、運行していると考えたからである。

かくして徒歩数分、銀座線の駅についた私は、やってきた黄色い電車に乗り、容易に空席を見つけ、端の席にすわることができたのである。

田園都市線沿いにある私の家の最寄駅に行くには表参道で乗り換えなければいけない。会社の最寄駅での半蔵門線ののろのろ運転を見た私は、半蔵門線田園都市線がスムーズに動いているとは思っていなかったため、表参道から先は時間がかかることを覚悟していた。しかし、表参道の駅構内も人は多くなく、やってきた半蔵門線もガラガラであった。簡単に座ることができた。

入場制限がかかっていた渋谷では多くの乗客が乗ることを覚悟していたが、渋谷もすっかり空いていた。家の最寄り駅まで空いた席がある状態だった。

なんてことはない。これは単に、多くの人が電車がストップすると思って早く帰ったことによる混雑がもたらした混乱だったのではないだろうか。
それが証拠に、2時間程度で田園都市線渋谷駅の混雑は解消されたのである。

改めて思った。今回の日中の雪の程度では、東京の鉄道はストップすることはないと。路線によっては雪の重みで倒木があったり、架線が切れたりして止まることはあるかもしれない。しかし、それは前もって点検しておけばある程度予測できることで、それに関しては鉄道会社の日々の点検を期待するしかない。4年前も京王電鉄が引き込み線の架線が切れたように、運行している架線以外の点検がおざなりになっている場合もあるだろうから、そうした想定はしておかなければいけないが、単なる積雪では容易には電車はストップしないものなのである。

一方で、夜に降る雪は注意しなければいけない。今回私が気になったのは23日の朝の列車の運行状況。23日の未明も雪が降り続いていた。深夜は列車は運行しないので、雪が積もっている可能性があり、除雪車が少ない東京の鉄道会社が対応できるものかと心配していたのである。しかし、ご承知の通り、始発から平常通り運行している鉄道が多くほっとした。
もしかしたら、雪が止むまで夜通し列車を動かしていて雪が積もらないようにしていたのかもしれない。コストはかかるかもしれないが、対応策としては完璧である。

先日の新潟のように短時間で記録的な大雪が降らない限り、4年ぶりとは言え東京に降る雪の程度では、列車は運行し続ければストップすることはないのである。

中には、増発すべきだという意見もあるが、私はこれにはやや懐疑的だ。
例えばこの記事だ。

toyokeizai.net

 

というのも、東京の路線は朝であれば、2分間隔で電車が到着する路線もある。日中でも前述のように5分に1本程度はある。列車の間隔が短くなれば、4年前の東横線の追突の悪夢の再現となるかもしれない。ただでさえ雪の中での運転に慣れていない乗務員がほとんどなのだから、増発によって乗務員の負荷を高めるべきではない。ましてや満員電車ではブレーキの効きはさらに悪くなる。そこまで危険を冒して増発する必要性はないであろう。

むしろ、帰宅を分散させる策を講じたほうが良いであろう。私が帰宅したタイミングではかなり空いていたし、運行もしていたのだから、1〜2時間ほど帰宅を時間をずらしても良かった人は多いであろう。あるいは、朝から出社禁止にするという英断もありだ。
何はともあれ、雪だからといってあわてず、周囲の状況を見て帰宅することが望ましい。都心であればシャワーを浴びれるところも近くにあるだろうから無理して帰宅する必要もない。

私はその思いで普段より1時間ほど早く退社し、自宅の最寄り駅の日本酒専門店で陸奥八仙を愉しんで帰宅の途についたのである。