月間総務を見ていたら、こんな記事を発見。ピクスタという、インターネットで写真やイラストの売買ができるサイトを運営している会社の人事部長のインタビュー記事だ。
【総務の現場から】ベンチャーから上場企業への成長を 人と組織作りから支える戦略人事 - 月刊総務プラス | 月刊総務オンライン
ピクスタは、比較的低価格で写真やイラストを購入できるので、私が勤めている会社でも利用している。また、2年ほど前に株でもやってみようと思ってマネックス証券のマイページにログインしたときに、IPO株を募集していたので記憶に残っていた。SIerからの転職しようとした際にも考慮に入れたことがある会社だったので、多少の企業研究もしていた。
この月間総務の中でおどろいたフレーズがあった、
制度ルール面では、フラットにやっていた意思決定の在り方や、情報の流れを見直し、会議体などの全体設計をした。
の部分だ。つまり、ピクスタ内部はフラットではないということらしい。
ところが、私のかすかな記憶ではピクスタの企業理念は
インターネットでフラットな世界をつくる
だったので、フラットな世界を目指しつつも、会社の中は上意下達・ピラミッド型なのだろうかと訝しく思った。要するにダブルスタンダードなのではないかと。「インターネットでフラットな世界をつくる」に共感して入社した人は社内もフラットであることを当然期待するであろう。しかし、入社するとその実はピラミッド型だったとしたらどう思うだろう。理念として「フラットな世界をつくる」を掲げるのであれば、社内もフラットにしていくべきであろう。
そういう意味で、この月間総務は理念は「インターネットでフラットな世界をつくる」だけれども「社内はフラットではなくピラミッド型」であるということを明確にしたという点で、ピクスタに転職を考えている人にとっては有意義な情報であろう。人事部長自ら述べているのだから間違いない。
フラットにやっていた意思決定をやめながらも
自律自走できる人材を評価
するとある。 そういう人材を求めるなら、意思決定も積極的にフラットにしていくべきだろう。事業責任者のみならず、一社員にも経営上の意思決定に関わらせるべきであろう。ここに歪んだ組織設計を垣間見てしまうのは私だけであろうか。
経営陣が決めたことを現場の社員が意見も言えずに淡々と職務をまっとうする。そんな社風を想像した。
また、目安箱に関するくだりで
回答は、ほかの経営陣に共有されたいか否かを選択でき、されたくなければ私のところで止まるようになっています
とある。これは人事部長が全情報を掌握するということを指している。人事部長に知られたくな場合はどうすれば良いのだろうか。情報を1人だけが持つというのは、企業にとってはリスクだ。良い情報であろうと悪い情報であろうと、である。もし仮に人事部長が不慮の事故で仕事ができなくなった場合を仮定してみれば容易に想像がつく。これはどの場面でも同じだ。2、3人のスタートアップなどの特殊の場合を除き、情報はなるべく複数人で共有しておくべきである。なので、人事部長は見れないけど経営陣には見えるというルートもきちんと作っておくべきであるが、その辺りはどうなのだろうか。このインタビューを読む限りでは、人事部長が情報を掌握する構造が想像できる。
最近、How Google Works という本を読んだ。そこには企業組織がどうあるべきかについて、
組織はフラットに保つべきだ
出典:How Google Works p68
と書かれている。本書でいうスマートクリエイティブは、仕事をやり遂げるためにトップの近くにいたいと思うとある。意思決定者と直接折衝する必要があるからだ。
また、
組織は機能別にすべきだと考えている
出典:How Google Works p70
ともある。冒頭の月間総務の記事では
組織の骨格は、機能別組織から、事業部別組織に変更
したそうだ。How Google Worksでは、
事業部制にすると、それぞれの事業部が自分のことだけを考えるようになり、情報や人の自由なが流れが阻害され
出典:How Google Works p70
てしまうとある。もちろん、Googleのやりかたがすべて正しいわけではない。ただ、YoutubeをはじめとしたGoogleのプロダクトによって「インターネットでフラットな世界をつくる」に貢献している代表的な会社といって良いであろう。(もちろん「インターネットでフラットな世界をつくる」はGoogleの理念ではないが)
その点からもピクスタにとってGoogleの組織は参考になる部分は大きいのではないだろうか。(余計な御世話だと思うが・・・)
理念を声高に掲げる企業の中には社内がその理念に従っていない場合がある。むしろ、社内でできていないからこそ、わざわざその理念を掲げなければならないのかもしれない。今回の事例はその例なのかもしれない。
今回、ピクスタという一企業の組織について月間総務の記事とコーポレートサイトの情報を元に考察をしてみた。現在、一ユーザーであるという程度の関わりでしかない私がここまで書くのはピクスタというサービスがなくなってしまうと、私の会社の事業にも少なからず影響を与えることになってしまうからだ。できれば末長く続けて欲しいという思いで、少ない情報から垣間見える問題について述べた。本当に余計な御世話であるのは重々承知している。
少ない情報なので、中で働いている人の印象は異なるかもしれない。素晴らしい会社なのであれば私の指摘は単なる杞憂に過ぎないし、上で述べた指摘がある程度的を得ているのであれば、それは改善すべき点なのだと思う。
※ あくまで、月間総務とコーポレートサイトという少ない情報源からの推測なので、事実とは間違っている可能性も十分にあります。その2つの情報源からこのように考察できうるというのも事実であるのでこの記事を書かせていただきました。