報道では不適切会計という表現が多いが、もはや粉飾決算。このブログでは粉飾決算という表現で統一しようと思う。
東芝という会社。
私は東芝に勤めたことはないし、内情はよく分からない。
ただ、東芝について日々感じていることを少し述べたいと思う。
今回の粉飾決算において、その分野の一部は、スマートメーター関連だと言われている。
私も、こうした電力自由化、再生可能エネルギーといった分野に興味があるので、こうした動きには非常に敏感になっている。
東芝のスマートメーター(通信部)は、東京電力で採用されているが、これがとにかくつながらないということだ。
その悪評もあってか、東芝のスマートメーター(通信部)は東京電力にしか採用されていない。他の電力会社は三菱電機や富士通を採用している。ちなみに、北海道、中部、北陸、中国、四国は三菱、東北、関西、九州、沖縄は富士通である。(ただ将来的にはマルチベンダーになるのかな。。)
スマートメーターの導入は、関西電力が先行して導入しているが、そこには、富士通の無線通信技術が採用されている(参考)。東電は、実績のある富士通を採用せずに、実績のない東芝を採用したわけだ。
つながらなければ、障害対応のため、多くの技術者が必要となる。人件費もかさむ。開発費用もばかにならない。予想以上にコストが増大してしまった。その結果がスマートメーター事業での損失であり、それを隠してきたのが今回世の中に出てしまった。
なぜつながらないメーターを採用することになってしまったのか。そこには、東電と東芝の深い関係があると思われる。
私にはよく分からないが、この二社は一蓮托生のきらいがある。
その一つは国策ともいえる原子力発電事業であろう。福島原発の事故によって、原子力発電事業は壊滅的な打撃を受けてしまった。原子力発電を推進してきたのは、自民党、経産省、東電、東芝、日立、三菱といった企業群だ。
とりわけなぜか東電と東芝は蜜月の様だ。東電は東芝の原子力発電事業の穴埋めをするため、スマートメーターも東芝に発注することにしたのではないか。
少なくとも、他電力が敬遠した東芝を採用するのには、技術力があるから、安いからといった単純な理由以外が見え隠れする。
その東電と東芝の蜜月ぶりは一般の人にも垣間見ることができる。
私は2014年10月に開かれたCEATEC JAPANのコンファレンスを聴講した。
「新しいスマートメーター実装 ~スマートメーターとスマートハウスの相互接続へ~」
というコンファレンスである。
そこには、神奈川工科大学の一色氏や、資源エネルギー庁の役人、各電力会社の人、NTT、Panasonicといった会社がパネラーとして登壇していた。
そこで東電のパネラーが、HEMSを紹介したときに、「隣の隣ぐらいに座っております、東芝さんもHEMSを販売していますから、ぜひご利用ください」と東芝を名指しで紹介した。
PanasonicもNTTもHEMSを販売しているが、なぜか東芝だけ名指し。電力会社としてはどこの会社も平等に扱うべきなのではないかと思ったが、非常にいぶかしく思った。
電力会社にはいろいろなしがらみがある。
特に原発である。
電力会社にもそれぞれITシステムを持っているが、そのシステム構築の際にも原発の影響はなくならない。東芝、日立、三菱。どの原発事業者も、情報系の事業を行っている。新しいITシステムを発注する際にも、やはりこの3社は別格である。考慮に入れなければいけない3社。この3社以外に発注する場合も、技術的に圧倒的な優位性があるか、あとはバランスの調整のためだったりもするであろう。
あまり詳細は書けないが、こうした原発を巡る様々な思惑が、間接的なところにも出てきているのである。