とある元SEの思考を探る

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上西議員、維新の党除名から考える比例選出議員の処遇(下)

上西議員、維新の党除名から考える比例選出議員の処遇(上)の続きになります。

 

smartenergy.hateblo.jp

 

ここで、少し、選挙と党の関係について考えてみたいと思います。

衆議院では、小選挙区と比例選出(拘束式)、参議院では選挙区(大選挙区または小選挙区)と全国比例(非拘束式)が選出方法となっています。

 

選挙区選出議員の場合でも党頼みの当選の場合もある

小選挙区当選であれば、やはり個人の力が強いでしょう。政党の力もありますが、自民党民主党などの大政党が存在する中、当時のみんなの党や、現在の維新の党などの、小政党、地盤のない候補者が小選挙区当選をするのは至難の業です。実際に、みんなの党の4人の小選挙区当選者は、故渡辺美智雄氏の地盤を継ぐ渡辺代表、父が元外務大臣である柿沢氏といった二世議員。それでも柿沢氏はかなり僅差での勝利でした。

次いで、浅尾氏ですが、浅尾氏に関しては、その昔民主党時代、参院選公明党から推薦を貰っており、みんなの党に移ってからは公明党からの推薦はもらっていないものの、そういった団体からの支援も拒まない、いわゆる“政治活動”の上に当選した人です。

そして、江田氏ですが、江田氏に関しては無所属のころから小選挙区当選。しかも特定の利益誘導団体からの支援は受けていません。地元の方々の後援会はありますが、いわゆる利益を求めない後援会になります(そもそも無所属では利益誘導できない)。そう考えれば、江田氏の無所属での当選は極めてすごいことであると言えます。

自民党が地元の農業組合や、経団連公明党の支持母体などで支持を固め、労働組合日教組などの左寄りの団体から支援を受けている民主党ならいざしらず、そうした大政党以外の候補者が小選挙区当選するというのはかなりの難しいことなのです。であるからこそ、小選挙区当選というのは価値のあることで、江田氏の離党に関しては、渡辺氏も容認したのでしょう。

 

一方で、参院選では、神奈川や愛知といった大選挙区は、3人や4人が当選します。私は、このような3人や4人選出される選挙区に関しては、極めて党の力による当選であったと思います。というのもも、全県が選挙区になると、小選挙区と違い、候補者を間近に見ることはほとんどありません。選ぶ基準はやはり政党でしょう。私は、比例選出議員よりも、参院の大選挙区で当選した議員の方が、党の力で当選したものだと思っています。

比例は確かに、政党に投票します。しかし、衆議院では、惜敗率で決めますし、参院では候補者個人名を書くことができます。比例で当選した人は良くも悪くも、個の力もないと当選できないのです。一方で参院選大選挙区であれば、党の公認というだけで当選確率がぐっとあがります。

みんなの党の倫理委員会からの上申書では、選挙区選出は離党しても辞職を求めないような書き方ですが、こと参院選に限って言えば、選挙区選出議員の方が党の力が強いのです。

そうしたことを考えれば、一概に比例選出が党の力で当選したとは一概には言えず、小選挙区大選挙区、比例と分けて考えなければいけないことが分かります。

そして特に参院の大選挙区で当選した議員こそがもっとも党公認であることの利点を生かして当選していると思います。なので、参院の大選挙区選出議員が離党することが無いように2013年のみんなの党は、渡辺代表になびく候補者を愛知、神奈川などの大選挙区から擁立したのだと思います。特に神奈川では、渡辺派の松沢氏、江田派の菅原氏のどちらを公認にするか最後の最後までもめました。結局、松沢氏が神奈川県選挙区から公認され当選。菅原氏は全国比例で立候補したものの落選しました。

みんなの党は変質したか

ここで、もう一度、みんなの党の倫理委員会からの上申書に戻ってみましょう。第二段落では、党が変質したという離党議員もいるが、党が変質したのなら、その判断をするのは国民であると書かれています。

ここからは、私の主観的な意見になりますので、それを前提に読んでください。

私は、一般の国民よりもみんなの党を近い所から見ていましたので、その状況が少しは詳しくわかります。2013年、年初から、渡辺代表と江田幹事長の対立が報道をされてきました。8月の頭には江田幹事長は突然の更迭。執行部からも外されました。

そしてさらに渡辺代表は、結党直後から精力的に活動してきた柿沢氏に半ば強制的に離党届を提出させ、柿沢氏は離党。柿沢氏は江田氏の腹心であるという報道もありましたが、私のイメージでは、柿沢氏と江田氏が取り立てて信頼関係が他の人よりも厚いというったことはないと思います。柿沢氏がなぜ渡辺代表から離党を強く促されたのかの真偽は定かではありませんが、「俺に逆らうとこうだぞ」という牽制の意味あいが強かったと思います。2009年に結党されたみんなの党は、当時は衆議院議員はたったの5名。所属議員が少なければ、質問機会は議員に多くまわってきますから、その中でも柿沢氏は質問回数がNo.1になるほど、みんなの党の活動を支えてきた人です。そして、2012年では念願の小選挙区当選を果たしました。そうした、結党当初から支えてきた柿沢氏をやすやすと離党を促すというのは、よっぽど政策の方向性にずれが無い限りありえません。そして、政策のズレというのは、みんなの党と柿沢氏には殆どありませんでした。みんなの党が変わったかどうかはともかく、みんなの党を率いる渡辺代表が変わったのはだれの目を見ても明らかでしょう。

こうした強権的な党運営をするというのは明らかに2009年~2012年ではみられなかったことです。政策は変わっていないかもしれませんが、党としてのガバナンスは確実に独裁的になったと言わざるを得ません。

また、捕捉しますと、渡辺代表は、こうした党所属議員を自分になびかせるために興信所を使って、所属議員の身辺調査を行っていました(私の知り合いの支部長(当時)談)。その目的の一つは、江田派かどうかということ。江田氏と隠れて会っていないか、それを確認するためです。そして、もう一つは、その議員の弱みを握ること。例えば、結婚しているのに女性とホテルに入るなどの不倫関係がある議員など、女性問題などの弱みを握ることで、渡辺氏側につくように促すことです。その対象は、所属議員だけでなく、まだ当選していない支部長にまで及んだというのですから、相当なものです。

おそらく渡辺代表は、自分にはむかう議員を極端に恐れたのでしょう。そこがやはり、政治の世界しか経験していない渡辺氏の最大の弱点、気の弱さが出たのだと思います。

加えて、やはり、頭の良さから言えば、東大卒通産省出身の江田氏と早稲田・中央卒の渡辺氏では全然違います。私は、渡辺代表はある種の嫉妬を覚えたのではないかと思います。江田氏の街頭演説は、「上から目線」「えらそう」などと批判もありますが、渡辺氏の様に気性を荒げない対応をするスマートさも江田氏は持ち合わせています。また、これは余談ですが、私は渡辺氏の奥様とも江田氏の奥様ともお会いしたことがありますが、個人的には江田氏の奥様の方が気品があって非常に好感がもてました。渡辺氏の奥様もボランティアの方には非常に丁寧に「いつもありがとうございます」と言ってくれる優しい方ですが、候補者を選り好みする傾向があるのが少し難点です。

この辺りの話はまだいろいろとあるのですが、ここでは書けません(笑。

 

まとめ

長くなってしまいましたが、まとめに入ろうと思います。話題は、比例選出議員が離党したときの処遇についてでした。

個人的には、一人や二人抜けた程度でごちゃごちゃ言わないのが一番いいと思います。もちろん、形式的に辞職すべきだという発言を一回ぐらいしても良いと思いますが、上西議員の除名に関しても、あとは次の選挙で有権者が判断すれば良いこと。上西議員の素行が問題なのであれば、そのような人物を公認した党にも責任があるのですから、1議席分は、勉強料だと思ってあきらめるしかないと思います。これからは、変な人物を公認しない!これが維新の党が上西議員の問題で維新の党が得た教訓だと思います。

みんなの党のときも特に地方議員のレベルは低い人もいました。借金に追われ、党本部にまで取り立ての電話がかかってくるような区議会議員もいました。政治の世界は本当に人材が不足しています。そういう背景もあり、みんなの党は選挙資金があれば積極的に公認を出していた政党でしたが、維新の党には、しっかりと公認を出す人を見極めて頂きたいです。党を急成長させるために信用できない人をどんどん公認するのは党の評価も落ちてしまいます。今回の統一地方選も多くの候補者が維新の党から出ていますが、私は、党公認だからと言って盲目的にその人を信頼して投票するのではなく、バックグラウンド、人となりをしっかりと見極めて投票することをお勧めします。今はネット選挙運動ができ、多くの候補者は街頭演説の場所を告知しています。一度会って少しでも良いので会話することが重要だと思います。

 

というわけで、比例選出議員が離党しても、いちいち騒がない!審判は次の選挙で下される!

以上です。

 

ここまで読んでいただきありがとうございました。