一昨日の記事の、一票の格差から考える3つのこと①の続きになります。
土日に色々と刺激が強すぎて間に二つも記事を書いてしまいました。。
今回は、
2.地方の意見を聞くために一票の格差は仕方がないのか
3.一票の格差がなくなったとしても、格差は存在する
の二つです。
2.地方の意見を聞くために一票の格差は仕方がないのか
しばしば、一票の格差がでるのは、地方の意見を反映するために仕方がないことだと主張する人がいます。本当にそうなのでしょうか?
国会議員が国会議員として守らなければいけないのは、一つの町や市ではなくて、国だと思います。すべての地方を大切にした結果、日本が破綻してしまうのであれば、それはおかしいです。今の日本の財政のお金の流れは、東京などの大都市の住民からとった税金を地方に回す仕組みとなっています。言ってみれば、田舎の地方公共団体の収入の一部が、都市部の人たちが生み出した利益となっているわけですね。
単純に考えればわかることですが、経済の効率はやはり、ひとが集まっていた方が良い。だからこそ、東京に人口が集中してしまうのです。逆に言えば、人口密度が低い地域では、公共サービスの効率も悪い。そのような効率の悪いところにお金を使ってしまうから、日本の財政も良くならないというのは、あながち間違っていないと思います。
もし、本当に日本のことを考えている人であれば、私たちの村や町は人が少なくて、経済の効率が悪いから、近くの都市部に移動して少しでも財政の負担を軽くしようと思うでしょう。(現に、長崎の離島で暮らしていたおばあちゃんが、役所に迷惑をかけることはできないので、その島を離れるといった決断をしたということもあります)
私は、今のすべての地方公共団体が今のままで生き延びるとは思えません。やはり、人口減少社会。なくなっていく、あるいは隣の地方公共団体に合併されていく自治体はあるでしょう。そして、地方の中でも都市部に人が集まっていき、効率的な社会となっていくしかないと思います。私の生まれ故郷である青森県だと、やはり、青森市内、弘前市内、八戸市内といった人口の多い所に人が集まることになるでしょう。その土地に愛着がある人には残念かもしれませんが、やむを得ないことなんだと思います。
3.一票の格差がなくなったとしても、格差は存在する
ところで、一票の格差が1倍になっても、一票の重さに差があるのはご存知でしょうか?
それは、シルバー民主主義という概念にも関係してくるものです。
シルバー民主主義とは、日本のように高齢者の数が多くなっていくことで、政治家が必然的に票数の多い高齢者向けの政策をとり、結果的に世代間不公平となってしまうことである。
誤解を恐れずに言いますが、私は、70歳の人の一票と、20歳の人の一票の重みは違うと思っています。もっと言うと、20歳の人の一票の重みは、70歳の人の一票の重みよりも圧倒的に重いと思います。
これは、考えてみれば当然のことだと思います。簡単のため、日本人が、平均して90歳まで生きるとしましょう。そうすると、70歳の人はあと20年先のことを考えて投票すれば良い。一方、20歳の人は、あと70年先のことを考えて投票しなければいけません。20年と、70年、3.5倍も重さがちがうのです。
それを考えれば、必然的に、年齢によって票の重みを加えなければ、一票の格差は存在してしまうことになります。
私は、若者の一票の重みは、年齢を重ねた方の一票の重みよりも重くあるべきだと考えています。例えば、どの年齢を基準にするかにもよりますが、20歳の人を1票とすると、70歳の人は、1/3.5 = 0.286 票とするといった施策が必要だと思います。票の重みづけは例えばy = 20/xの反比例の式で表されるものを使うと次のようなグラフになります。
中には、おとしよりの方だって、若い世代の事を考えて投票していると主張する人もいるかもしれません。私もそう思います。なので、現実的には、y = 20/xという式をそのまま当てはめて利用するのではなく、少し補正しても良いかもしれません。たとえば、先ほどは70歳の方の票の重みを1/3.5にしましたが、1/2にすると、y = 14/x + 3/10という式になり、グラフは、下図の赤色の線です。最終的にどの程度にするのかは、議論の余地のあるところだと思います。
最後に・・・。
民主主義を実現するために一番分かりやすく簡便な方法が選挙ですが、以前のように、人口ピラミッドが釣鐘型で若者の人口が相対的に多かった時代では、ある程度上手く機能したのだと思います。しかし、今の先進国の多くが少子高齢化で苦しむ中、これまで上手くいっていた制度というのを見直さなければいけません。
ビジネスの世界では、利益が伸びないとき、これまでのビジネスモデルを見直すということが採られると思います。政治の世界でも同様に、変えていく必要があると思います。しかし、政治には、企業のように利益という目に見える指標が無いので、悪化したということが分かりにくいです。だからこそ、悪い制度が温存されてしまいます。
日本は政治的な話を敬遠する傾向のある国です。しかし、今既に見えている課題、これから顕在化するであろう課題に対し、眼をそむけず、これからの日本のあるべき姿を真剣に議論する必要があります。
(補足)
今回、反比例のグラフを使って説明しました。反比例は小学校で習います。数式を使うのは中学校だと思いますが、こういう簡単な式を使うだけで、ぐっと具体的な数値に落とし込んで議論ができるようになると思います。この数式の良しあしは別として、インターネットの記事では、この辺りの具体化が十分でない、もっというと具体的な数値の落とし込めていない記事を多く見かけます。私のブログも、感覚的な記述が多いので反省ですが、なるべく、実用にも耐えうるような主張ができたら良いなと常々思っています。
今回も、読んでいただきありがとうございました。