選挙には様々な制限があります。
公職選挙法には、選挙戦に突入したら、ありとあらゆる候補者が公平に戦えるように、様々な制限が課されます。
街頭演説をする際にも、告示前では必要なかったものが必要になります。その一つが、標旗(ひょうき)です。
この写真は、2013年の参院選で、三茶で行われていた川田龍平参議院議員の街頭演説の様子です。私は良く三軒茶屋に出没するので、そのとき偶々通りかかりました。右側に「川田龍平」と書かれた白い布が掲げられていますが、これが標旗です。
ちなみに、手前でジャケットを着ている方が保坂世田谷区長(当時)です。
参議院の全国比例だとこの大きさの標旗なのですね。衆議院選挙の比例の標旗(名前の所は政党名が書かれる)もこの大きさなので、比例代表の標旗はこの大きさなのでしょう。川田さんの標旗にはかっこよく名前が書かれていますが、選挙管理委員会からもらえる標旗にはここは何も書かれていないので、自分達で書かなければいけません。多くの陣営は油性ペンで書くと思いますが、中には、布で名前をかたどったりして目立つようにする人もいます。
ちなみに、比例代表でない標旗はこちら。
2014年の都知事選の時の細川護熙元総理の街頭演説(王子駅にて)です。街宣車の梯子の所にかけられているのが標旗です。衆院の小選挙区や、都議選もこの大きさでした。
しかし、元総理大臣2人の街頭演説ということもあって、すごい数のSPですね。
街頭演説は、この標旗があるところでしかできないのですね。それは、組織力のある候補者が、選挙区のあらゆるところで演説を行わないように、一か所でしか演説ができないように“公平”にしているのですね。
まだいくつかあります。
例えば腕章。街頭演説をしていると、周りでスタッフがビラを配っていると思います。その人が身に着けているものを良く見てみると、布が輪っかになった腕章というものを身に着けてるかと思います。この腕章は11枚もらえますので、同時に11人しかビラを配ることができないことになります。また、腕章はこの11枚に加えて、車上運動員(街宣車の運転手とウグイス)用に4枚もらえます。車上運動員用の腕章は他の腕章とは違うものになります。
ちなみに、この腕章、ボランティアスタッフは日によって、そして同じ日でも時間によって手伝ってくれる人が変わるので、いろんな人に渡ります。そして、よく無くします。選挙も後半戦になると疲れも出てきて街頭演説した場所に落としてきてしまったりするのですね。
あと、スピーカー(拡声機)。街頭演説にはスピーカーがつきものですが、スピーカーにも選挙管理委員会から交付されたものをつけなければいけません。ちなみにスピーカーの数にも制限があって、“候補者一人につき一そろい”になります。しかしまあ一そろいっていったい何個なんでしょうね。。公職選挙法にはこのようなよく分からない表記があったりします。
また、選挙の時によく見かけるのぼり旗ですが、選挙期間中の街頭演説では、個人名(候補者を類推するフレーズも含む)を入れた旗や政党名を入れた旗を用いることができません。ただし、これを街宣車につければ、街宣車の看板の一部とみなされ可能だったりします。このあたり、公職選挙法はかなりあいまいです。
実際には、街宣車から離れたところで旗を使っていたりしますが、警察に警告を受けないうちは使用するという候補者も多いです。また、地区によって取締りの厳しさに違いがあるのも事実です。さらに、恐ろしいことに、当選度合によっても取締りの厳しさは変わってきます。都議選の時、ある党の候補者が、党の旗を何本も使って街頭演説を行っていました。もちろん街宣車からは離れたところで。本来であれば、ダメなはずなのですが、その候補者は落選が濃厚。一方、私が応援していた候補者はぎりぎり当選圏内だったので、かなりマークされました。最終日には街頭演説をしていると、背広を着た男性がいて(警察だと思われる)監視されていました。選挙戦始まった当初には使っていた党の旗も警告を受けて使えなくなりました。
確かに、警察としても全候補者を見るのは大変なので、泡沫候補にまですべて気にするのは難しいのかもしれません。選挙戦終盤になったとき、その候補者の街頭演説でとの程度まで候補者が類推できるのぼり旗や看板が使われているかで当選する見込みがあるかどうかが分かるかもしれません。
なお、一部の政党は、様々な根回し等により、警察からのマークを逃れている場合もあるらしいです。
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