とある元SEの思考を探る

ひょんなことからとあるICT企業ではたらくことになったなんちゃって元SEがしたためるブログ。主に、政治・経済・社会問題・日常の出来事について発信していきます。お読みいただけたら、感動にむせび泣くほど嬉しいです。よろしくお願いします。


選挙の裏側①~公営掲示板~

 

いよいよ、統一地方選ですね。私が住んでいる川崎市では、来月12日に川崎市議選、神奈川県議選、神奈川県知事選の3つが同時に行われます。

私は、衆院選都議選参院選と選挙を手伝ったことがあります。多くの人は、投票に行ったことはあると思いますが、選挙についてあまり知らないかと思いますので、このブログでも書ける範囲で、説明してみようと思います。
なお、選挙は、地方によって、また選挙区分によって異なりますので、もし選挙で立候補しようとされる方は、詳しくは、ご自身が立候補する予定の選挙区の選挙管理委員会にお尋ねください。

 

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今回は、公営掲示板の話です。選挙の直前になると、写真の様な掲示板が街中で見られるようになります。よく、小学校等にも設置されるので、小さいころから親しみがあるのではないでしょうか。このブログではこのように選挙管理委員会が設置するポスター掲示板のことを便宜上、公営掲示板と言うことにします。

この掲示板、一応、選挙区内にまんべんなく設置されます。なるべく偏りのないような形で設置場所が決められるのですが、設置の許可が降りなかったりすると、偏ることもあります。次の写真は、世田谷区の公営掲示板が設置されている箇所を示したものです。代沢、北沢あたりのものですね。30番のエリアの1,5,7がやたら接近している一方、北沢一丁目の北側(井の頭線よりも北側)は殆ど掲示板が無いのがわかります。

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立候補すると、このような地図と掲示板の住所が書かれた一覧がもらえます。それをもとに、立候補者は自分のポスターを貼りに行きます。

そうです。公営掲示板のポスターは自分たちで貼りに行かなくてはなりません。

あのポスターは選挙管理員会は貼ってくれません。立候補者自らが貼りにいかなければならないのです。ですので、都知事選などエリアが広い選挙になると、すべて貼りきれない候補者がいます。というよりも、都知事選であれば、自民、民主、共産、社民などの既存政党以外はすべて貼りきるのは厳しいのではないでしょうか。島嶼部もありますからね。まして、泡沫候補と言われる方々は無理でしょう。ですので、公営掲示板にポスターが貼っていない番号がでてくるのです。

この公営掲示板のポスター貼り、地味に結構きついです。各陣営がどのようにポスターを貼っているか、私が知っている限りをお伝えします。

1.ボランティアが上意下達で組織的に貼りに行く
 公明党共産党はおそらくこの方法だと思われます。告示日(国政選挙(補選除く)の場合は公示日)の朝になると、ボランティアが、立候補者のポスターを持って近くの掲示板に陣取ります。朝、立候補を届け出ると、届出番号が決まります。届出番号が決まった瞬間、連絡網で一気にボランティアに届出番号が伝わり、速やかに掲示板にポスターをはります。おそらく、衆院選などでは、ポスターが貼りきるまでの時間、10分もかからない(長くても30分はかかってない)と思われます。私も貼りに行ったことがありますが、告示日の午前中に行っても確実に共産党公明党は貼ってあります。


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2013年参院選公示日の11時9分に撮影した写真。共産党公明党は確実に貼ってあります。自民党が遅いのは意外。

 

2.ボランティアで貼るが、人数がいないので1日~2日かけて貼り切る
これもボランティアを活用した方法なのですが、きちんとした組織が無かったり、ボランティアが日中仕事をしてたりすると、この方法になります。党でいくと、昔のみんなの党などはこの方法の人も多かったのではないでしょうか。同党は、2013年参院選のとき、各支部長に担当エリアを割り振り、各支部長本人やボランティアがポスターを貼りに行っていました。私も、2013年の参院選の時は、ある支部長の下、ボランティアの方がどこのエリアを貼るかの取りまとめや調整をしていました。人数が少ない分、1日~2日はかかります。

3.ボランティアで業者にやってもらう
候補者によっては、運送業者が支援してくれている人もいて、彼らが貼ってくれることもあります。私が衆院選を手伝った方は、地元の運送業者の方が支援してくれたので、貼ってもらいました。公示日の午前中には貼り終わっていたと思います。
候補者にそのようなお手伝いをしてくれる運送業者がいれば頼もしいでしょう。ただ、あまりそうしたボランティアしてくれる運送業者が支援者にいる候補者はあまりいないです。

4.お金を払って貼ってもらう
選挙の手伝いには、お金を払っていいものと、ダメなものがあります。例えば、事務所内での事務作業や、ウグイス(男の場合はカラスと呼ばれたりする)、街宣車の運転手などは、手当を出すことができます(上限あり)。一方で、街宣車の下でビラを配るスタッフはお金を出せないなどの制限があります。ただ、事務作業もするし、ビラも配るという人もいると思うので、境界があいまいだという問題点はあります。
公営掲示板のポスター貼りは、お金を払ってやってもらうことができる作業です。私が都議会議員選挙を手伝った際には、やらなければいけないことがたくさんあって、とても公営掲示板まで手がまわらなかったので、バイク便の業者にお金を払って貼ってもらいました。お金に余裕のある候補者はこの方法はありでしょう。貼るスピードは業者との契約次第ですが、1日のうちには貼り切れると思います。ただ、エリアが広くなるとその分費用もかさむので、やはり都議選参院選の選挙区は大変だと思います。


以上の4つあたりが、公営掲示板にポスターを貼る方法だと思います。選挙になると当たり前に貼られる公営掲示板のポスターですが、すべて貼り切るのはなかなか大変です。きちんと貼り切れているのはそれなりに組織がしっかりとしている候補者と言えます。
ただ、あまりに早すぎると、組織がしっかりしすぎていて、その組織のために政治を行うなどの弊害もあります。選挙区の範囲にもよりますが、衆院選や区議選、市議選ぐらいの範囲で、二日以内ぐらいで貼り切ることができていれば、それなりにやる気のある候補者であると言えるでしょう。
ポスターの貼るスピードでもその立候補者のバックグラウンドを垣間見れるので、今度の統一地方選では、その当たりも意識してみてはいかがでしょうか。