とある元SEの思考を探る

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日銀の新たな審議員、原田氏に反対した日本を元気にする会

参議院議員山田太郎氏のHPに3月2日、こんな記事が掲載されました。

国会の議論は茶番!?(20150302) | 参議院議員 山田太郎 公式webサイト

 

要約すると、国会同意人事である、日銀の新しい審議委員として早稲田大学教授の原田泰氏を任命することに対し、反対したということだそうです。事前に賛否は決めていたものの、民主党の大久保議員の討論を聞いて、最終的には反対に決めたとのこと。

ただ、日本を元気にする会では、党議拘束をかけていないので、会派(名称:日本を元気にする会・無所属会)のうち、

賛成:田中茂氏、井上義行

反対:アントニオ猪木氏、山田太郎氏、松田公太氏、行田邦子氏、山口和之

※田中氏、行田氏は無所属。他は日本を元気にする会。

が内訳になります。

まず、国会の採決で、日本を元気にする会の様に、党議拘束をかけない党は珍しいということです。これは、国会議員一人一人に裁量をもたせるという点で非常に画期的な試みです。(多くの政党は、党議拘束をかけ、どんなに議員が反対と言っても、党が賛成であれば、賛成するしかない。そうしなければ、ペナルティが課されることが多い)

党議拘束をかけないということもあり、日本を元気にする会の井上氏は、他の4人が反対票を投じる中、賛成に回りました。日本を元気にする会は、将来的には、国論を二分するような採決に対しては、国民から広く意見を募集し、その賛否の比率に応じて国会議員が投票するような仕組みをとるそうです。ポピュリズムの走らないように上手にバランスをとる必要がありますが、どのようにして民意を国会に反映させるか、どのような仕組みを構築する予定なのか、注目していきたい政党です。

私は、数年前、渡辺代表、江田幹事長時代のみんなの党を支持していましたが、その頃に何度か山田太郎参議院議員とお会いしたことがあります。何回か議員会館での勉強会も開催されて、出席したこともあります。山田太郎さんはみんなの党きっての政策通であり、農業政策、外交、財政政策など、幅広い分野に精通しています。2013年の参院選のときには、みんなの党の政策集であるアジェンダを取りまとめています。山田太郎さんは、地元での選挙活動はほとんどせず、政策に没頭していて、私は政策のプロという印象を持っていまして、応援しています。衆院選比例代表には、山田さんの様な政策は詳しいが選挙には弱い人を高い順位にするような政党があるべきだと思っています。衆院比例代表には、死票を減らして小政党の候補者が当選できるようにして幅広い民意を救う役割がある一方で、山田さんのように選挙に弱いが政策の専門家が当選できるようにする一面があると思います(だからこそ、参院選の全国比例と違い、拘束式名簿方式で、順位をつけることができる)。

(ちなみに、山田太郎さんは本名です。)

 

しかし、今回の日銀審議員の国会同意人事案での、原田氏へ反対票を投じた山田太郎さんの経緯には首をかしげます。

まず、民主党の大久保議員の討論を聞いて反対を決めたということです(当初は賛成票を投じる予定だった)。国会同意人事案が採決されることはあらかじめ分かっていましたから、当然、あらかじめ原田氏がどういう人物であるかは、日本を元気にする会でも調べたと思います。その上で、当初は賛成する予定にしていたわけです。

しかし、民主党の討論を聞いて反対にまわりました。

山田さんは“大久保議員による新情報などもあり”反対を決めたということですが、議場内での突然の変更。山田さんの言う“新情報”なるものがどういうものかは分かりませんが、まずは、その新情報が正しいかどうかを確認する必要があると思います。

民主党の大久保議員がもしかしたら、誤解をしているかもしれないし、もしかしたら、意図的にミスリードをしてしまうような討論をしているかもしれません。

事前にしっかりと調べたうえで賛成票を投じようと決めていたわけですから、こうした討論を聞いただけでその話を信用するのは、国会議員としてどうなのかなと思います。

私は理系ですが、研究室に所属していたとき、教授に言われたのは、「とにかく論文でも教科書でもなんでも疑ってかかれ。間違っていることが書かれているかもしれない。」ということです。これは、人の話をうのみにせず、論理的に考えるための手法の一つである、クリティカルシンキングの初歩だと思います。これは、理系に限らず、どんな場面でも応用できるものだと思います。

そういった背景を考えれば、国会の議論が茶番(とくに本会議での採決)になってしまうのはやむを得ないのかもしれません。あらかじめ、自分たちで集めた信頼できる情報で判断する、これは合理的なことなのではないでしょうか。採決の中身にもよると思いますが、国会の本会議での議論が茶番であることが一概に悪いことだとは思えません。

もし、このような視点をもったうえで、山田さんが反対したのであれば、それは山田さんの信条でありますから、良いと思いますが、“新情報”が正しいかどうかの確認を怠ったうえでの反対票だとしたら、山田さんにしては思慮が浅かったのかなと思います。